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｢便秘」とは、排便の間隔が長引くかあるいは、間隔が短くても排便の困難なものをいいます。
便秘の原因には、太古の昔から日本人は農耕民族で主食はコメなどの穀物で、日本人のからだの構造も消化しにくい穀物を消化するために西洋人に比べ腸が長いことや現代において生活スタイルの欧米化やレトルト食品の普及によって、“うんち”の原料となる食物繊維不足、さらに冷蔵庫の普及に伴い冷たいジュース・食品を口にすることで腸の動きが鈍くなる（低体温化）など、いろいろ便秘にも原因はあります。
中国漢方では便秘の原因を見つけ改善していきます。
■便秘の種類
便秘は“腹満・腹痛を伴なう（実秘）タイプ”と“あまり不快感を伴なわない（虚秘）タイプ”に大きく別けることができ、それぞれについて説明をします。
実秘タイプ
積熱便秘
腸胃に熱が停積することが原因です。
辛いもの・味の濃いもの・脂っこいもの・熱いもの・お酒などの嗜好品により胃腸に熱が停積するために便秘をきたす病態です。胃腸の機能が亢進して水分が過剰に吸収されて便が硬くなり排便困難になります。
腸管で発酵が進みガスが発生し腹満をおこします。一時的な数日間の便秘であることが多いのが特徴です。
漢方としては、胃腸の熱を冷まし、糞便を軟化して瀉下します。熱を冷ますことによって次に便秘をおこさせないようにします。
アドバイスとしては、このタイプの便秘は西洋薬の下剤も有効ですが、単に便を一時的に除去するだけで熱をとる効果は持っていませんので便秘は繰り返し、薬物に対する慣れによって下剤の量が次第に増加してしまいます。
より有効な治療には漢方方剤がおすすめです。
ストレス便秘
腸管が緊張状態であることが原因です。
精神的ストレス・緊張・不安などでからだの機能が停滞した状態となっています。自律神経が緊張するために腸管も緊張して蠕動運動がスムーズに働かず排便がうまくいきません。“けいれん性便秘”に相当し、ストレス・緊張などで増悪し、女性の月経前や旅行や友人宅でのお泊まりによる便秘も含まれます。
切れぎれの便・すっきり出ない・便が細い・腹満・イライラ・ゆううつなどの症状を伴ないます。
漢方としては、自律神経の緊張を和らげて機能を円滑にし、排便をスムーズにさせます。
アドバイスとしては、西洋薬の下剤では無効なことが多く、腹痛などの副作用もでやすいので体質にあった薬を服用することをおすすめします。リラックスを心がけ、ストレスを和らげるストレッチやハーブティを飲むことなどを普段から心がけてください。
実秘タイプに用いられる漢方薬
涼血清営顆粒（りょうけつせいえいかりゅう）・大黄甘草湯（だいおうかんぞうとう）・調胃承気湯（ちょういじょうきとう）・桃核承気湯（とうかくじょうきとう）・防風通聖散（ぼうふうつうしょうさん）・加味逍遥散（かみしょうようさん）・四逆散（しぎゃくさん）・大柴胡湯（だいさいことう）など
ご予算：1ヶ月分で7,500円〜15,000円ぐらい
虚秘タイプ
元気不足便秘
排便に時間がかかります。
機能が衰えて腸管の動きが弱くなり、糞便の排出力が足りないので排便に時間がかかり（排便困難）、出はじめに硬く後が柔らかいのが特徴です。
また、疲労感があり一般的な下剤では無効であるか激しい腹痛・下痢などの副作用をもたらしますので困っている方が多い便秘です。
漢方としては、元気をつけて蠕動運動を活発にし、便を押し出す力を高めます。
アドバイスとしては、このタイプの便秘に無理に下剤だけを使用すると、ますます元気を使い腸を弱らせ便秘を強くさせてしまいますので、無理やり動かすのではなく十分に栄養を与え動ける体力を養うことが必要です。
うるおい不足便秘
兎糞状のコロコロ便が特徴です。
産後・慢性病・老化などで腸を滋潤することができなくなり便秘になります。腸液の分泌も不足して糞便が硬くなります。
漢方としては、栄養・体液を補充して腸を潤して便通をよくしてあげます。
アドバイスとしては、腸を潤すことが先決なので胡麻・ピーナッツなどの油脂を豊富に含むものを摂取するのがおすすめです。激しい運動なども体液を消耗するのでやめましょう。
虚秘タイプに用いられる漢方薬
補中益気湯（ほちゅうえっきとう）・潤腸湯（じゅんちょうとう）・麻子仁丸（ましにんがん）・婦宝当帰膠（ふほうとうきこう）など
ご予算：15日分で4,000円〜7,000円ぐらい
ポイント！
実際には複数のタイプが混在している場合やその時の状況や環境にも影響を受けます。
間違った方法を用いると余計に悪化することもあります。漢方では全体のバランスをみますので便秘だけでなく、肌や体調もおのずと整えられます。
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